介護職の仕事の給与の変化

介護職はその仕事の負担の大きさに対して給与が低く、そのために人材が定着しないという問題を抱えています。少子高齢化の改善の兆しは見えておらず、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年までに、介護業界の人材不足に対する何かしらの対策を行わなければいけません。ここ十数年の間で、政府は介護業界で働く人材の待遇改善を目指し、さまざまな施策を行っています。

実際に介護士の給与は、2022年の時点では、ここ10年ほど右肩上がりです。2010年と2020年の介護職の平均給与を比べると、およそ3万円上昇しています。2022年には介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算なども行われ、長期間介護業界に従事した職員の給料に一定額が加算されるようになりました。介護職員の待遇改善は着実に行われていると言っていいでしょう。

しかし介護業界の人材不足に大きな改善は見られておらず、ますます深刻化していくと予想すらされています。これは、政府による給与改善の施策が、末端の介護士にまで届いていないからでないかと言われています。

さまざまな賃金上昇の工夫がなされていますが、どうしても実際にその恩恵を受けることができるのは一部の条件を満たした介護職員だけなのです。介護業界で働き始めたばかりの20代の職員には関係がないというケースがほとんどです。さらに、賃金以外にも長時間労働や休日出勤などの労働時間に関する問題は解決されていません。このように、介護職の給与が上がってきていることは喜ばしいことですが、さらなる改善が必要となるでしょう。